規定のおさらい
細かい規定はさておきまして、主要なポイントは下記3点(特に上記2点)に集約されると考えられます。
(1) 平成19年4月1日以降取得する減価償却資産については、残存価額(取得価額の10%)が廃止される。
(2) 平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産については、償却可能
限度額(取得価額の95%)まで償却した事業年度の翌年以降の5年間で、残りの5%を均等に償却する。(償却可能限度額の撤廃)
(3) 技術進歩が著しいIT分野の法定耐用年数を短縮する。(実はそんなに該当するものないのですが、、、、)
なんといっても、(1)と(2)が重要となっておりますね、これまでの方法(以下「旧基準」としましょうか)より、減価償却費が多く計上されることになることは明らかとなっておりますね。損金計上(税金を安くする)という観点からは現場レベルでは歓迎されるべきところですよね、素直に考えれば。
実務上の対応(システムの変更が間に合わない!!)
さて、このように鳴り物入りで登場した新減価償却方法ですが、こういった改正においてはいつもの通り、現場レベルでの混乱が続いているようです。
そもそもの理由は、どうしてもシステムの変更が間に合わないということですね、、、自前にシステムを使っている場合においても、市販のシステムを使っている場合においても、どうしても対応がおくれてしまっているわけです。
その理由はやはり下記に集約されるのでしょうか
国税&システム開発チーム→新基準となるのは2007年4月1日以降開始事業年度(つまり2008年3月末決算)なので、そんなにあせらなくてもまだまだ大丈夫じゃないですか、、、
現場→年度の予算策定や、月次の報告があるので、既にもう新基準での計算結果が必要なのに、、規定もシステムも対応が遅れていて、本当にどうするつもりだ!!
こういった感じで、現場と国税&システムチームとの間にどうしても温度差があるわけですね、それにしても、国税側はいつも(どうせ、決算までに間に合えばいいんだから、、、)といった感じで対応が遅いのは、本当に困ったものです、彼らには、期中の予算策定や、事業年度変更にともなう早期の新基準適用という概念がないのでしょうか、、、いつも困るのは現場なんですよね。
気になる会計面(監査法人)の対応は?
さて、減価償却がらみでは、どうしても税法の基準が一人歩きしてしまい、会計的な側面が軽視されがちなのですが、、、会計面では今回の改正をどのように捕らえているのでしょうか???
日本公認会計士協会
監査保証実務委員会報告第81号「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」の公表について
http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/81_1.html
これによると、会計的には旧基準から新基準への変更もOKと捕らえているようですね。そもそも会計的には、耐用年数自体が税法基準によっているところはおかしい話なのですが、世の中の会社のほとんどが税法基準を採用している以上、それを認めないというわけにもいかないという事情があるため、今回の変更も「やむなし」といったところなのでしょうか。
逆に捕らえれば、旧基準によったとしても当然会計上は「問題なし」というわけですから、「旧基準」と「新基準」それぞれが監査上問題ないということになってくるということになりますね。
場合によっては旧規定の継続適用の可能性も??
このように、会計上では「旧基準」も「新基準」もOKという結論ですと、世の中には「実は減価償却費が少ないほうがありがたい、、、」という法人もあるわけですから、分析をする時には注意が必要ですね。
具体的には一般法人については、税金を安くするという意味で、「新基準」が採用されることが多いと考えられますが、不動産を保有する「特定目的会社」や「投資法人」においては、減価償却費が少ないほうが結果配当が多くなる(配当が損金算入されるため、課税所得には影響なし、、、)ため、その方がありがたいわけですよね。
そうするとそういったビークルについては、基本が「旧基準」ということとなるのでしょうね、、。投資家保護といった観点から、本当にこういったことで「監査上問題ない」ということとなるかどうか、今後も注意が必要ですね。
文責 : みらい税理士法人 中村 武 |